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【出展参加報告】NAFSA2022デンバー大会 STUDY in JAPANブース (関西大学)

【出展参加報告】NAFSA2022デンバー大会 STUDY in JAPANブース (関西大学)

NAFSA2022「STUDY in JAPAN (日本合同ブース)」の出展団体より
『関西大学』様に、事前の準備や大会中の活動について
報告書を執筆いただきました。出展の参考事例としてご覧ください。
※『大阪学院大学』様の報告書は《 こちら 》です。

開催期間: 2022年5月31日(火) – 6月3日(金)
場所:  米国・デンバー、Colorado Convention Center in Denver, Colorado

本学の状況と参加目的

関西大学としてNAFSAに参加するのは今年で13回目となるが、今年度のNAFSAは新型コロナウイルスの流行から2年ぶりの参加となった。今年度のNAFSAへの参加は、留学プログラムの再開に向けた調整を行う上で、とりわけ大きな意味があった。本学では、新型コロナウイルスの流行により、2020年度は全留学プログラムを中止し、2021年度から段階的に留学プログラムを再開してきた。その一方、新型コロナウイルスの影響で海外パートナー校が閉鎖したり、スタッフがレイオフされたり、立ち上げたプログラムが白紙になるという状況が起きていた。そのため、留学プログラムの全面再開に向けたパートナー校との関係再構築・新規パートナー校の開拓は、解決を図るべき喫緊の課題であった。

また、コロナ禍で海外渡航を伴う留学が軒並み中止になり、海外からの留学生受入れも延期が続く中、本学での国際教育の根幹を担ったのはCOIL型授業であった。派遣プログラムを段階的に再開している現在も、原油高騰、円安の影響により、海外渡航に係る費用がいまだかつてないほどに高額になるという課題も出てきた。学生が、日々の学業を通して国際教育の機会を享受できるよう、COILパートナー校の更なる拡充の必要があった。
この度のNAFSAでは上記の状況を踏まえてNAFSA参加目的を精査し、出張者を決定した。

協定大学とブース前での記念撮影 (NAFSA2022)
協定大学とブース前での記念撮影 (NAFSA2022)

〔参加目的〕
1. 学生派遣・受入再開に向けた既存のパートナー校との関係再構築、新規プログラム実施の可能性について協議
2. 既存のCOILパートナー校とのプログラム拡充に関する協議
3. 新規パートナー校(学生交換、語学プログラム・短期プログラム派遣先)、新規COILパートナーの候補探し

〔出張者〕
教員2名…国際教育センター長、IIGE副機構長
事務職員1名…国際教育グループ留学推進チーム 留学プログラムコーディネーター

〔参加形態〕
JAFSA(国際教育交流協議会)が取りまとめる「STUDY in JAPAN」にて、フルブースで参加した。

NAFSA参加の3つの利点

(1) 効率的に既存のパートナー校・新規パートナー候補校と懇談できる

NAFSAの年次総会には、毎年1万人規模の高等教育・国際教育関係者が一同に集まる。
本学では世界各国の140大学と学生交換協定を結び、15大学とCOILパートナー協定を結んでいる。協定を結んだあと実質的な交流がなされない年が続くと、協定関係が形骸化し、そのまま協定終了となることもある。

COILパートナー校とのミーティングの様子 (NAFSA2022)
COILパートナー校とのミーティングの様子 (NAFSA2022)

本学にとって毎年のNAFSAへの参加は、協定大学と実質的で発展的な交流・協働を継続し、関係を活性化させる機会である。もちろんルーティン業務(交換留学の手続き、協定書の更新など)に関する情報共有・確認はメールやZoomなどで実施できるが、新規プログラムに関するブレインストーミングやディスカッションなど創造的なコミュニケーションは対面で生まれやすい。そして、それができるのがNAFSAである。
今年のNAFSAに限ってはアジア地域からの参加が少なかったたが、その分北米・南米・欧州地域のパートナー校や新規パートナー校補校とのミーティングに注力できた(アジア地域のパートナー校との協議は、来年のAPAIEに持ち越すこととした)。学生派遣・留学生の受入について再開を見越した協働に加え、新規プログラムの構築やオンラインツールを用いた交流など、多角的なディスカッションを行うことができた。

(2) STUDY in JAPANブースでのネットワーキング

STUDY in JAPANブースは、ブース全体に桜の装飾を施し会場内でも一段と目立つ。その一角にブースを構えると、日本の大学との学生交換やプログラム実施に関心のある海外大学関係者と繋がるチャンスがおおいにある。NAFSAの会場内では常に人が移動しており、STUDY in JAPANブースの前にもたくさんの人が通る。

関西大学ブース (NAFSA2022)
関西大学ブース (NAFSA2022)

ブースに大学のバナーを立て、パンフレットや大学グッズを並べていると、立ち止まってグッズを手に取ってくれる人と名刺交換をして立ち話がはじまる。また、日本でパートナー候補を探している海外大学関係者のアポなしの訪問も多い。すべての訪問者と手ごたえのある会話になるわけではないが、会場にあふれる様々な目的を持った約1万人規模(今年は約6千人)の参加者から、日本の大学との協働に関心がある参加者に効率的に出会うことができる。
今回のNAFSA出展では、バージン諸島の大学や、特徴のあるプログラムをもったアメリカのコミュニティカレッジからのアポなし訪問があった。当初協定の拡充を計画していた地域外ではあるが、過去には予期しない偶然の出会いから協働がはじまったこともあるため、NAFSAでできた繋がりは大切にしている。

(3) セッション・ポスター発表での情報収集

ポスターセッションの様子 (NAFSA2022)
ポスターセッションの様子 (NAFSA2022)

NAFSAでは年次総会中、国際教育に関するセッションやポスター発表が開催されている。
国際教育の動向・トレンド、各国の高等教育の国際化への取組みに触れられる機会である。加えて、セッション・ポスター発表の中には、日本の国際教育分野、留学業界ではまだ活発に議論がされていないテーマも数多く目にする。

本学の留学推進チームでは、ここ数年で留学先での性暴力の防止や、LGBTQ学生への留学支援に取り組んでいる。今年のポスター発表ではこれらの話題に関する調査や実践について、アメリカの大学の留学オフィススタッフや大学院生、専門機関からの発表があった。ポスターから知識を深めるとともに、発表者と気軽にディスカッションをすることができた。
国ごとに問題の背景は違うこともあるが、共通のテーマについて課題意識を持ち、そのテーマに対して調査や実践を通して貢献しようとしている大学関係者と知り合えたことは大変刺激になった。

参加準備とフォローアップ

NAFSA参加については事前準備、アフターフォローが肝心である。本学では、NAFSA参加に向けてはAPAIE(3月)が終了したタイミングで、NAFSA参加目的の精査・派遣者を決定し、戦略的にどの大学とどのような内容で懇談を進めるべきかを事前に打ち合わせている。実際に出張する者のみではなく関係者と方針の共有を図っておき、出張後はもちろん、出張中も、現場担当者とメールやスラックで連絡をこまめにとって、迅速なフォローアップ(追加情報共有、協定締結やプログラム立ち上げに向けたディスカッションの継続、等)につなげられるように体制をつくっている。
今回のNAFSAでは、参加目的に対して一定の成果が上げられたと考えている。現場レベルで丁寧なフォローアップを行うことで、出張中に築いたネットワークを実践での協働につなげていきたい。

報告者:西脇菜穂子
関西大学 国際事務局
国際教育グループ留学推進チーム
留学プログラムコーディネーター