2024年度APAIEは 3月4日から8日にかけて、オーストラリア、パースで開催された。アジア圏を中心としながら、欧米圏の大学や教育機関等が数多く参加し、各国ブースでのミーティングや各エキシビションにおける研究発表、プレゼンテーション等により、活発な議論が行われた。
獨協大学は埼玉県草加市に位置する私立文系の総合大学であり、特に外国語教育に力を入れている大学である。弊学における本大会へ参加はコロナ禍をもあって7年ぶりであった。弊学の今大会への主な参加目的は3つであった。一つ目は現協定校との派遣・受入のバランス確認及び調整や現地における学生の様子や状況を共有すること、二つ目はアジア圏において特に英語が教授言語である新規協定校を開拓すること、三つ目は日本の参加大学担当者との繋がりや各種の情報交換すること、を参加目的とした。
3月4日夕刻より、JAFSA主催のSTUDY in JAPAN情報交換会に参加にした。情報交換会はパースの素晴らしい海岸夜景を背景に現地のオイスターを食べながら立食形式のカジュアルな雰囲気で行われた。さまざまな大学関係者と現在各々の大学が抱えている疑問や課題、これから大学としてどのような点にフォーカスしていくべきかなど、マクロからミクロまでオープンに話し合うことができる非常にいい機会となった。
翌日以降は3日間で協定校、新規開拓校を含む約20大学とミーティングを行った。すでに交換協定を締結している大学とは、特にインバラスが生じている大学に重点を置き、過去の統計データからその原因を分析し、課題を認識した上で交渉することで、双方の要望を共有することを目指した。普段は担当者間のやり取りはメール等で行われるため、各々の意図が伝わりきらないことがある。しかしこのようなダイレクトなコミュニケーションは話し合ってみることで解決すすることもあり、結果的に双方のこれまでとこれからの取り組みを再認識しながら、インバラス解消に向けて前進するきっかけとなった。
新規開拓校とのミーティングは、大会前にアポイントを取った大学もあれば、ブースとして出展している大学にこちらから話しかけてミーティング時間を作ってもらった大学もあった。APAIEでは「ふらっと立ち寄って」交渉がスタートすることも多々あり、初めは緊張したものの、スタートしてしまえばお互いに大学プロモーションに熱が入り、活発な情報共有が生まれた。中には帰国後もコンタクトを継続している大学もあり、今後も交渉が続く見込みである。
また、ミーティング時間の合間を見つけて複数のエキシビションにも参加した。特に印象が強かったのはAriunaa Enkhtur氏がチェアパーソンを務めるVirtual Exchangeをテーマとした日本の大阪大学でのケーススタディを報告したものである。ポストコロナにおけるオンライン留学において、留学生の募集、就職指導の支援など、入口から出口までを含めたニューノーマルな留学生のリクルート戦略は非常に興味深い活動であると感じた。
これまでメールでのみのコミュニケーションしかなかった複数の大学担当者と直接話し合う機会が作れたこと、これはAPAIEという各国大学や教育機関が一同に集う大会ならではの交流であり、お互い顔を合わせたディスカッションができたことがまずは大きな成果であった。その上で、今回、交渉を重ねていく中で、ある協定校とは過年度のインバランスにより本学からの派遣が停止していた大学への派遣枠を獲得することができた。別の協定校とは、APAIE終了後に来日予定とのことで、弊学にも訪問、再度フォローアップのミーティングを行うことも決定した。また。新規開拓校としてミーティングをした大学の中には、現状でもコンタクトを続けながら、協定締結につながる可能性を模索している大学もあり、継続的な協議を重ねている。
APAIEでミーティングを行った全ての協定校で課題が前進したわけではない。ミーティングでは交換協定におけるインバランスをお互いに共有しつつも、短時間ミーティングで解決せず、現状維持に留まった大学も複数あった。今回のミーティングをファーストステップとして、今後も継続的にコミュニケーションをとっていくことで双方にメリットとなる方向性を模索していきたい。
最後に、今後は大学として、APAIEだけでなく各種国際大会に積極的に参加していきたいと考えている。今回実際に参加して、特に国際大会は各大学における最前線のグローバルな動きを収集できる場であることを実感した。次回以降の大会参加時には弊学のブースを出展などもしていきたい。
報告者:獨協大学/国際交流センター事務課
村越 弘規
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