オンサイトで参加する国際会議では移動を伴う海外出張とホテル、飛行機の予約が約半年前から始まり、アポイントメントについても約4か月前から準備を開始することが一般的である。一方、オンラインで参加するメリットは、これらの調整により発生する多くの時間を節約することができるため、効率的に打ち合わせを行うことが最大のメリットである。
オンラインミーティングは、国や国境を意識することなく、特定の目的に基づいた会議が設定される。リアルタイムでのPoint to Pointコミュニケーションは、オンライン会議の大きなメリットの一つであり、準備の時間も含めて無駄がなく効率的なタイムマネージメントが実現可能である。しばらく話し合うことができていなかった事柄についても集中的に話し合うことができてその成果は大きい。
他方、オンラインでは参加者同士の「偶然の出会い・再会」がないため、予想や予定をしなかった実りを得ることは難しい。また、国際会議によって使用するプラットフォームが異なるため、それぞれのシステムを使いこなすまで戸惑うこともある。時差が大きい国・地域の大学・機関とミーティングをするのは難しいという欠点もある。また、大会への参加率がそれほど高くないので希望のところと必ずしもミーティングができないことも多い。
APAIE 2022では新規の協定締結につながるような成果は今のところえられてはいないものの、タイの2大学との協定活性化、オーストラリアと韓国の大学に対して本学のオンライン短期受入プログラムのプロモーションを行い実績につなげることができた。また、8カ国約20大学とは今後再開される交換留学について協議することができた。ミーティングの中では、協定を締結していても学生交換が停止されていたことへの対応方法や、今後どのような学生を派遣・受入する希望があるかなどについて議論を進めることができ有意義であった。何よりも、各国の留学生が日本への留学を待ち望んでいる様子を各協定校の担当者から直接聞くことができたことは今後の学生モビリティ再開に向けて大きなモチベーションにつなげることができた。留学生の夢の実現に携わることができることを実感し、自分たちの役割を再確認することができたことは大きな成果であった。
APAIE 2022のオンライン参加は、効率の良いミーティングで一定の成果を上げることができたが、やはりオンサイトの「偶然の出会い・再会」がないのは少々寂しく感じた。来年3月には、約3年ぶりのオンサイトAPAIE 2023がタイ・バンコクで開催される予定であるが、オンラインで実現した効率的なミーティングを実践するとともに、オンサイト特有の出会い・再会を今後の大学間ネットワークに活用できるように準備をしていきたいと思う。
報告者:酒井仁子(交換留学・協定関連コーディネーター)
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